リノベーションは動物園にも有効!?
刷新や改革という意味のあるリノベーションは、現在はリフォームと共に住宅関連でよく耳にする言葉です。リフォームとリノベーションには明確な定義の違いはありませんが、壁紙を張り替えたり古くなったキッチンやトイレを修理したりするといったように、生活に必要なことをするものを一般的にリフォームと言います。これに対して、6畳2間の部屋をフローリングの1DKにするというように、当初とは目的自体を変えることをリノベーションと言います。
こうしたリフォームやリノベーションは住宅以外の建物や施設でも威力を発揮し、リノベーションによって復活を遂げた動物園もあります。
開園当初は賑わいを見せる動物園でも、月日の経過とともに来場者の人数も減っていくことがあります。
珍しい動物を導入したり、動物の赤ちゃんが生まれたことを宣伝したりして巻き返しを図る方法もありますが、従来の動物園の概念をまったく新しいものに変えることで成功した動物園があります。
それは、檻の中にいる動物を見るのではなく、野生のままの動物を体感できるという発想でした。
それまで動物園と言えば、人間と動物の距離が遠く、檻の奥の方にいたり、岩かげに隠れていたり、水の中に潜っていたりして見えないのが一般的でした。
そうした動物そのものを見せようとするのではなく、動物の行動展示をコンセプトにしたのが日本最北端の動物園である北海道の旭山動物園です。ウサギやヤギなどの小動物に触れることができるコーナーに始まり、ペンギンの散歩や動物たちが食事をするモグモグタイムはそれまでの動物園のイメージを一新しました。
キリンやゾウを放し飼いにしてあったり、迫力のある白クマを間近で見られたりすることも人気をよんでいます。一時期は入場者数が停滞して廃園の危機にまで直面していた動物園をここまで人気があるものにしたのは、リノベーションのたまものと言えるでしょう。
これは決して動物園に限ったことではなく、一般社会の多くのことに当てはまることです。何かに行き詰まったときの打開策として、リノベーションは一つの選択肢です。